対談シリーズ 企業内研修の舞台裏から見えてくる、人材育成のヒント
vol.1 北陸電力株式会社様
北電ビジネスカレッジ -次世代幹部育成に必要な経営の視点を磨く会計教育とは

次世代の幹部候補だからこそ学んでおきたい、
会計と経営の視点とは

小木
吉成先生が講義で用いるBSアプローチ学習法は、会計やファイナンスを初めて学ぶ方にとって馴染みやすい。一方、金融機関の方や、経理業務の経験者、こういった専門の方にとってもその理解を一層高める画期的な学習法だということを、実際にビジネスカレッジの受講生の皆さんもおっしゃっています。
小木
北電ビジネスカレッジの受講生は、電力の現場に携わっている者が多いですし、参加者の皆さん全体でも、生産現場の責任者の方が多いので、普段からどうしてもP/Lの数字を重視しがちです。しかし、ビジネスカレッジでこのBSアプローチという切り口で会計を学ぶことによって、今までは自分が狭い範囲でしか数字を見ていなかったなということに気づかされます。受講者の皆さんが、将来、経営者としての立場に変わった場合、今回、このビジネスカレッジで吉成先生から学んだBSアプローチの学習法がすごく仕事に直結していることを感じてもらえるのではないかと思います。
吉成
ありがとうございます。まさに仰って頂いたように、経営指標の話において、ベースとなるのは投資利益率「ROI」です。これを分解していくと、最後に売上高利益率と資本回転率の乗数みたいな形になって、P/Lだけの指標が登場するんだけど、自分が日々業務で見てたのはここなんだなと。これって分解に分解を重ねていって、最後の端っこだったんだなと。実はベースとなる商売っていうのは、投資をしてリスクにふさわしいリターンを得ること。これが一番ベースだけど、その全体を見てなかったなと。そこにつながるものなんですね。同時にバランスシートに載るもの、載らないものを含め、資産を活用して利益を生み出すという意識が、結局、製造の現場、建設の現場なり、さまざまな現場においても、私の希望としては、昨日までとは違った形で資産が目に映るといいなと。
 つまり、お金を生んでくれるものが、資産保全だとか、資産を大切にするとか、あるいはもっともっと有効に活用するとか、アセットにもっと目を向けて、より大切にしながら利益をもっと引き出していくような視点につながっていくといいなという狙いがあります。
 北電ビジネスカレッジの受講者の皆様は、既にベースとなる能力、知識を相当お持ちの皆さんなので、私からの問題提起やメッセージが本当に一発で届くのです。これは本当にありがたい。これは普段から皆さんが答えを探して、模索をされて、問題意識を持っておられるから、「ああ、そうだったのか」と気づくことなんだろうと思います。普段から問題意識持ってない方だと、問題意識持ってもらうところから始めますので、北電ビジネスカレッジの受講生の皆さんは、本当にこれから次世代の経営、あるいは地域経済を担う意識と、そのために貪欲に自分が色々なものを身に付けたい問題意識を相当お持ちだなということを実感いたします。
小木
私も先生の仰るとおりだと思います。ありがとうございます。
受講生の中には銀行員の方もおられまして、その方ご自身が、研修の講師として社内の教育的な立場、特に新入行員に教える側であり、「このBSアプローチというのは、会計初心者に教える方法としても非常に理解しやすく参考になる」と仰っていました。つまり、専門家から見ても、効果的な学習法であることが裏付けられているので、さらにBSアプローチ学習法を使って、新人行員を育てていこうとされているのだと思います。
吉成
このような形で北陸電力ビジネスカレッジの受講生の皆さんが、どんどんご自身の業務に取り入れていただく流れが、一番有難いですね。
小木
今回、北電ビジネスカレッジがきっかけになりましたが、北陸から吉成先生のBSアプローチ学習法を広く全国に発信していく、そういった意気込みで私もこれから取り組んでいきたいと思いますし、先生にお力添えをいただきたいと思います。
吉成
私も、もちろん喜んでやらしていただくんですけれども、私以外のいろんな会計を教える立場の方々が、ぜひ、一人でも多くの方にご賛同いただいて、このBSアプローチが北陸から成功事例として広まっていくことが、一番の願いでございます。
小木
私もそれを願っております。よろしくお願いいたします。
吉成
こちらこそありがとうございます。

北陸電力ビジネスカレッジの今後の展望

小木
卒業生ですが、今年(平成28年)の卒業生48名を合わせまして、延べ460名になります。社外の受講生の方はこのうち271名、社内が189名という内訳になっております。
吉成
社外のほうが多いんですね。
小木
そうですね。カレッジの進め方として、できるだけ社外からの刺激を入れるということで、比率的には社外の方に多く受講していただいています。今後も毎年開催させていただいて、一人でも多くの卒業生を出したいな、そしてBSアプローチも広めていきたいなと思っております。
吉成
ありがとうございます。
小木
社外からいろいろな企業の皆さんにご参加いただいてるのですが、現在、64社になりました。
吉成
それはすごいですね。
小木
当社のグループ企業も一部おりますが、この会社数を少しでも増やしていきたいなと思っています。
吉成
すごいですね。まだまだ北陸地方に、潜在的に候補となる会社があるのですね。
小木
そうですね。来年から新しく参加していただけそうなところにも、声を掛けていきたいと思っています。
吉成
大変、素晴らしいですね。1つの民間企業でありながら、地域の未来のために次世代の経営者をそういう形で育成するという姿勢が、そもそも非常に志が高いですね。そういう場があるといいなと思う人がいたとしても、なかなか、現実にそれを実行されるというのは大変であり、頭の下がる想いです……
小木
当時社長をしておりました新木がその礎を築きました。電力会社だけではなく、地域の皆さんも巻き込んで、将来の経営層になっていく人材を育てようと。
吉成
全国でもこういう例というのは、あまり聞かないと思いますが。
小木
そうですね。社外の皆さんにもビジネスカレッジに参加していただくことによって、新たな価値観とか考え方とかものの見方、そういうものが養われる。このビジネスカレッジを通じて新たなビジネスチャンスが開けるのではないかという期待もあります。
小木
ただ、私も少し残念なことは、460名の卒業生の内、女性の卒業生が4人だけなのです。
吉成
意識されてそうなったわけではないんでしょうけど。でも、これからの課題ですね。
小木
そうですね。女性管理職の方も各社いらっしゃると思いますので、どんどん声を掛けて、ご参加いただきたいと思っています。
小木
今年(2016年)の4月から電力小売が全面自由化となりました。4年後の2020年には電力システム改革により、電力の組織形態も大きく変わります。激動の時代を乗り越えることができる経営者を育てていくためにも、北電ビジネスカレッジは 微力ではありますが、一翼を担わせて頂きたいと考えています。これからも、1年でも長く、中身もより充実した研修にしていきたいと思っています。
吉成
やはり経営者の人によっては、そもそも企業研修に対して、あまり価値を見出してない方もおられるし、一方非常に期待している方もおられます。そこはかなり温度差を感じています。
しかしながら、大きい環境変化、あるいはスピーディーな環境変化が起きるときこそ、ベーシックな、経営者として知っていなければいけないことをどこまで本質を掘り下げて正しく分かっているか。専門知識はいらないかもしれないけれど、ベーシックなテーマを十分に身に付けて、肌身に染みて言動と一体化している経営者ではないと、新しい変化に対して道を間違う可能性があります。優先順位を間違ったり、本末転倒したりと。そういった意味において、私はビジネスカレッジの研修内容は、全くおろそかにしてはいけない分野だと思いますので、北電ビジネスカレッジは、これからさらに意義が強まると思います。
小木
会計とファイナンスも、北電ビジネスカレッジにおいては、重要な科目の一つになっておりますので、今後とも継続して先生にお願いしたいと思います。1年でも長くお力添えをいただきたいと思っています。吉成先生には本当によろしくお願いいたします。
吉成
こちらこそよろしくお願いいたします。
本当に今日はどうも有難うございました。
2016年11月
北陸電力研修センター 小木 聡 様
講師:吉成英紀
Photographer:尾花 基
総合演出: 藤山 晴久
企画制作:インプレッション・ラーニング
このページの先頭へ戻る
3
2
1
ホーム

北陸電力ビジネスカレッジ

経営幹部として必要な経営全般にわたる高度な知識の習得、受講生間の異業種ネットワークの構築と相互啓発を促し、各企業、団体の経営戦略等を構想、実現出来るリーダー育成の為に、毎年、5月に開講し約5か月(18日間)土日に北陸電力本店内会場にて実施。これまでに11回開催(2016年度現在)し、卒業生は460名を数える。主な科目として経営政策、競争戦略、組織と人的資源管理、会計とファイナンス、企業法務があり、各専門分野の講師が担当。社内受講生には、引き続き、アクションラーニングとして、同社の経営課題の解決策の策定、経営層への成果発表を行う機会が設けられている。



北陸電力株式会社

富山市牛島町15番1号
ホームページ http://www.rikuden.co.jp/

北陸電力研修センター 小木 聡様
インプレッション・ラーニング講師 吉成 英紀
Copyright(C) Impression Learning Co., Ltd. All Rights Reserved.