「イノベーションを導き出す」企業内研修
Impression・ラボ座談会 vol.1 2010年6月14日(月)午後
吉成英紀氏:(有)吉成コンサルティング代表取締役、コンサルタント金子智朗氏:ブライトワイズコンサルティング合同会社 代表社員、公認会計士 税理士平林亮子氏:合同会社アールパートナーズ、平林公認会計士事務所 代表 公認会計士畑下 裕雄氏  株式会社プロキューブジャパン 代表取締役 公認会計士 税理士 公認内部監査人

IFRS教育が、もっとも必要なのは誰か!?


2011年、会計制度のグローバル化が目前に迫る中、IFRSに関する情報の多くは各論に終始しているようです。しかし、IFRSを本当に理解しなければならないのは誰なのでしょうか?それはいかにして修得できるものなのか。財務の専門家である研修講師陣に語り合っていただきました。
IFRS教育が必要な人たち
平林
最近のIFRSの話題を見ていると、経理部門だけの話と捉えられているようですが、経営者こそ必要だと私は感じます。いま経営者向けのIFRS研修はやっていらっしゃいますか?
金子
経営者向けは少ないですね。
平林 
そこに問題はないでしょうか。
金子 
非常に問題だと思います。IFRSについては、スタンフォード大学のメアリー・バース氏が「There are no right answers」と言っていました。これが原則主義を物語っていて、これからどういうふうにしていくのかは、会社が個々に考えていかなくてはいけないということです。つまり、まず経営者が考えなければいけないわけで、経理部門がどう処理するかという各論に終止しても意味はありません。
畑下 
経営がIFRSをどう判断するか、その解釈の仕方で、実際のビジネスに与える影響を限定的にすることも、あえて拡大解釈してチャンスを拡げることもできますよね。その権限が経営者に与えられていることが理解されていないように思います。
吉成 
おっしゃる通りで、IFRS教育の優先順位でいうと、経理担当者よりも経営者です。なかでも空白になっているのは、今日現在の経営者ではなくて、これからの経営者ですよ。  日本がアドプションを迎えた後、積極的な攻めの経営を行う経営者もいれば、最小限にインパクトをとどめる経営者もいるでしょう。そのときの経営者というと、いまの部長さんクラスじゃないですか。つまり部長さん、課長さんなど次期経営陣候補である管理職の皆さんこそ、IFRSの時代に向けてその本質をしっかり学んでおく必要がある。これは人事教育担当の方にぜひお伝えしておきたいことです。
会計は経営の“共通言語”
吉成
これはIFRSのはるか手前の話になりますが、私が日本の経営者と話していて感じるのは、欧米の経営者に比べて経理や会計の基本知識が圧倒的に不足しているのではないかということです。
金子
それは私も感じます。そもそも「利益は意見表明である」ということが分かってないですよね。会計は経営者の主張であり、まさにアサーションですが、そこがまず分かってない。そこのところは欧米の方と比べたら、明確に劣っていますよ。欧米ではMBAの存在があり、トップマネジメントになるための典型的なキャリアパスになっています。MBAくらい出ていなければ対象外ですから。
平林 
MBAで習うのは具体的にどのようなことなんでしょう。
金子 
戦略、マーケティング、組織、ヒューマンリソース・マネジメント、アカウンティング、ファイナンス、最近ではITマネジメントなどもあると思います。
吉成 
グローバルでは、MBAレベルのアカウンティングやファイナンスの知識は、経営者にとって"共通言語"ですよね。でも本当は役員の仕事はその先ですから、われわれが強烈に主張しなければいけないことは、「共通言語を知らないのは論外ですから、これはもう一刻を争う」ということなんです。現在の経営陣と、次から次の次ぐらいの経営陣たちに早急に手を打って、とにかく共通言語をマスターしてくださいと、そこでやっとグローバルでは当たり前のレベルですから、そこから先、今度はあなたの経営者としての考えを構築していってくださいということです。
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平林 亮子〈司会〉合同会社アールパートナーズ、平林公認会計士事務所代表、公認会計士。中央大学商学部客員講師。お茶の水女子大学卒。太田昭和監査法人(現新日本監査法人)に入所し、国内企業の監査に多数携わる。独立後、企業、個人を問わず会計面からのサポートを行っている。
金子 智朗〈ゲスト講師〉ブライトワイズコンサルティング合同会社代表社員、公認会計士・税理士。東京大学工学部卒、東京大学大学院工学系研究科卒。名古屋商科大学大学院教授、多摩大学大学院客員教授。「管理会計の基本がすべてわかる本」(秀和システム)、「善玉コスト悪玉コスト」(税務経理協会)他著書多数。
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