平林
監査法人はこれから変わらなければいけませんね。
金子
監査法人にいる公認会計士を評価する側が変わらないとダメだと思いますね。つまり、監査法人を経営する側、トップの意識が変わらないと無理だと思います。
平林
トップの意識を変えるのは難しいですよね。
吉成
現実的な話をすると、金融庁がメスを入れるということでしょうね。
平林
どうメスを入れるんですか?
吉成
いまの監査法人のあり方ではだめだと、声を大にして言う人が必要です。それは行政でしょうね。会計オピニオンレターを監査法人が出さないのは異常だと、「医者に行ったけど診断してくれませんでした」、「セカンドオピニオンを取りに行ったら、うちはそういうものは出せませんと言われた」、そういう状態はおかしいと、誰かに叱らせないとダメだと思います。
畑下
業界全体が物事に対して否定的なんですよね。監査ってリスク管理のプロなので、これは一種の職業病だと思いますが、リスクばかり考えて生きているわけです。
吉成
だけど本来のリスク管理というのは、リスクにチャレンジするためのものですよね。一流企業でも、あれも危ない、これも危ないと新しい案件をつぶすのがリスク管理だと勘違いしている会社がありますが、そういう会社は10年、20年たったら自分がつぶれていますよ。監査法人も同じです。自分がなぜぬるま湯にいられるのかという自覚があるかどうか、ここがポイントだと思います。
畑下
ひと言で言うと、監査法人はプロフェッショナリズムを大事にしなきゃいけないですよね。プロフェッショナリズムとは何かというと、高い思想です。中小企業を助けるのか、大企業を助けるのか、世の中の生産性を高めるとか個人によって描き方と、それを具現化する方法は違うと思いますが、高い志がないとプロフェッショナルとは言えません。昔はそういうマインドを上の人が教えていました。でも大規模化して徒弟制度が崩壊しているから、自浄作用ではどうにもならないんだと思います。吉成さんがおっしゃったように外圧で「監査法人けしからん!」となって、あり方を変えていくしかないんでしょうね。
吉成
本当は監査法人は、普段からリスク管理と言っているわけですから、「監査法人は何をやっているんだ」と言われる前に手を打たなければいけないんですけどね。実際に監査法人は、一般企業に比べて能力は高いんです。ですから先程、金子さんが言った業績評価の仕組みをかえて、頭を切り替えていただくのがいちばんいいと思います。良い意味でIFRSの到来を発展のための「試練」に変えて頂きたいというのが私の期待です。
金子
どのような会計士が法人内で高く評価されるのか。どのような仕事ぶりでなかったら叱られるのか。そこをはっきりしていく必要がありますね。ビジネス・マインドを持って企業のビジネスを見ることができ、その企業の主張することを正しく理解できる。その上で、プロフェッショナルとして正しい会計判断ができる人材が評価されるようになっていって欲しいと思います。
企画、構成、演出/エデュケーションプランナー 藤山 晴久
Produced by Impression Learning Co.,Ltd.
鼎談会場協力 : グランドプリンスホテル新高輪 「メインバー あさま」
撮影スタジオ : Ryoko's Photo Studio
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鼎談会場協力 : グランドプリンスホテル新高輪 「メインバー あさま」
撮影スタジオ : Ryoko's Photo Studio